熱い鉄板を持つ道具

三重県鈴鹿市加佐登でたこ焼き屋たこ虎を経営している
しろーです
何でしろー?はこちらから
https://takoyaki-takotora.com/2018/12/11/2018-12-11-230149/

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今回はたこ焼きを焼く機械「銅板」と葛藤について書きたいと思います

1か月程使った銅板

お前なんて大嫌い

たこ焼きに欠かせない板の種類

たこ焼きを焼く機械にはたこ焼きの形をした鉄板がならんでますよね
それを私は板と呼びます
この板には何種類かあって
・鉄板・銅板・アルミ
私が知ってるのは3種類
たこ虎で使用しているのは「銅板」
銅で出来ている板です

種類によってそれぞれ特性があり
鉄板は油が馴染むとたこ焼きがひっくり返しやすくなる事
掃除がしやすいし長持ちします
が熱伝導がゆっくりな為たこ焼きが焼けるまで時間がかかります
ゆっくり焼けるとたこ焼きの中が空洞になります
板に汚れがこびりつくと中々取れない

銅板はとても扱いが難しいです
しかし熱伝導が早くたこ焼きが速く焼けます
速く焼けるとタコから出た汁が蒸発しないので
トロトロでジューシーになります

アルミはひっくり返すたこ焼きの機械ではなく
昔ながらのパッタンとするたこ焼き
ごめんあんまりアルミに興味がなくって特性がこれだけ分からないけどテフロン加工されてる家庭用のたこ焼き機はアルミに加工されるのが多いね

アルミのたこ焼き機

カッコ良くありたかった

たこ焼き屋さんになる!って10月に決めて
11月にはたこ焼き機を何にするか決めて買いました
銅板にするか鉄板にするか…
ここで私”たこ焼きは銅板やろ”
もうこの考えの頭しかありませんでした
特性もくそもない
ただ銅板で焼いてたら…絶対

カッコイイやん

これはたこ焼き屋さん目線です
何件も食べ歩いて鉄板で焼いてるか?
銅板で焼いてるか?
しているうちに
あきらかに銅板が旨いし
何か分らんけど
難しい板で焼いてるのが
無性にカッコイイんです

ガス台+銅板(新品)
¥156583
正直失敗したら買いなおせるレベルの金額でない
でもこれがないと始まらないし
どうしようもなく欲しかったのです

焼くのが好き

たこ焼きの機械を手に入れた時の高揚感たら
忘れた事はありません
小さい子供が大きなおもちゃを手に入れて
喜ぶ姿そのものだったと思います
やった!私やったった
今思うと何がやねん!って思いますが
”これで思い存分たこ焼きが焼ける”

そうです、皆さん
私たこ焼きが好きなんではないんです

たこ焼きを焼くのが好きなんです

高校3年間たこ焼き屋でたこ焼きを焼く楽しさを知りました
ピック(たこ焼きをひっくり返す棒)でたこ焼きの生地に
触ってひっくり返る瞬間の楽しさ
焼けていく楽しさ膨らむ楽しさ
色が変わる楽しさ焼ける音の楽しさ
香ばしい匂いの楽しさ
タレを塗った時の楽しさ
そしてそれを見ているお客様の
”美味しいそう”な顔を見る楽しさ

これだけの為に私は
たこ焼き屋になったと言っても
過言ではないと思います

本当の試練

銅板のメンテナンスなんて全然知らない私
聞く先生もいない
当時聞くのが恥と思っていた為
ネット上の情報に頼るしかなく
板の焼き付け→油をひくタイミング→試し焼き(ならし焼き)
これら全部を調べて実践しました
尚且つ新品の銅板の為焼き付けが非常に繊細だと知らなかった

失敗
板を焼きすぎて
部屋中煙もうもうで火災報知機を鳴らす
洗う

失敗
板をどれだけ焼けばいいのか分からなくて
永遠に焼くそして途方に暮れる
洗う

失敗
油を塗るタイミングを間違えまた火災報知機を鳴らす
洗う

失敗
やっとタイミングを見計らい油を馴染ませたが
その後少し板を焼き付ける時間が浅く
生地を入れたがひっくり返らない
洗う

失敗
焼き付け油馴染ませ焼き付けと成功し
生地を入れて焼くが生地の分量と水分量が分からず
生地が焦げる
洗う

上記の失敗は一例で毎日毎日失敗し
あせり
冷や汗が出てきて
毎日毎日途方に暮れ
毎日毎日真っ青になりながら試行錯誤していたのを思い出しまた

この苦しみを誰にも言えなかった
誰にも言えず
決して表立っては泣かないと決め
歯を食いしばってました
周りからは私は殺気立ってたと言われます
こんな試練が待ってるとは思ってなかったんです

お前なんて大嫌いだ!

板の焼き付け→油をひくタイミング→試し焼き(ならし焼き)
最後の試し焼きで つまづき…ここで一旦挫折しました
全然焼けれないというか
ひっくり返せない
どれだけ生地を試行錯誤しても全くたこ焼きがひっくり返らないのです

もうやめよう

もうやめよう
もうたこ焼き屋なんて出来ない
止めてしまいたい
逃げたい
消えたい
無理
こんな感情が心を占めてしまい
板の試し焼きをやめました

この時銅板に向かって出た言葉が
「お前なんて大嫌い」だった

生地をひっくり返せなくて
こびりついた板を見ながら
お前なんて大嫌いと吐き捨て
私の言う通りに全然ならないと怒り
その言葉を吐き捨てて板も掃除もしないで放り出した

放り出し
板を眺める日が続きました
なんと7日(短い)!

汚ったない板を見続け思ったのです

”焼きたい”
焼きたいもう一度焼きたい

あと100回してダメならあきらめよう
人生の中のあと100回なら出来そうじゃん

洗わない選択

板を洗いもう一度最初からやりなおしました
そして考える内に”試し焼きに行くのが早い”のかも…
に行き着いたのです
早く焼きたくて
試し焼きしたくて
その前の工程がおろそかなのかも

だって新品の銅板なんだもんね

焼き付け+油を馴染ませる事を何度も繰り返そう
何度も繰り返して繰り返して
これでもかって油を馴染ませよう

馴染ませる事1週間
板の色もだいぶ変わり何だか焼ける気がしたのです
(この時怖くて板を洗わなかった1週間も)
いつもなら日の終わりにはきっちり洗ってた板を
洗わなかった

洗わなかった板に生地を流し込み
だんだん生地が板から浮くのが見えたのです

キタ!

そうです初めて生地をひっくり返す事に成功しました

ごめんね嫌いって言って
自分の浅はかさ勉強不足無知を棚に上げ
板のせいにしてごめんね
そんな気持ちで一杯になって初めて生地をひっくり返し
たこ焼きの形に成形出来た

実は今でも怖いんだ

今でも1日の始まり
たこ焼きの生地を板に流し込む時
ひっくり返せない恐怖が襲います
失敗したらどうしようって

なので開店してから半年間
銅板を洗えなかった

汚い話ですが
終わりにはさっと水洗いしキッチンペーパーで拭くのみ
銅板はみるみる黒ずみまるで鉄板のように黒くなりました

これではせっかく銅板にした意味がない
ものすごく焼きやすい鉄板になりましたが
反対に銅板の特性の熱伝導率の良さを活かせない
もっちりを出せてもトロッとが出せないのです

その為銅板を徹底的に洗い
もう一度焼き付け馴染ませ試す事を決意し
最初からやろう
銅板の良さを出したい!という欲が出たのです

ここからは自分が知識がないので
同業者さんにお願いして教えてもらったり
自分でやり方を考えたりして
とても上手くいっています

銅板の焼き付けのノウハウ

さて銅板をどうやって焼き付け油を馴染ませ
試し焼きするのか?を説明しておきます

きっとたこ焼き屋をやりたいけど
どうやって焼き付けたりメンテナンスしたらいいの
分からない人もいるはずです
私のやり方で良ければここに記録しておきますので
見て行って下さい

月に一度この銅板を徹底的に掃除する時のメンテはこちらです↓

綺麗に洗い上げる事
シルバーになるまで焼き付ける事

まずは銅板を洗う専用の洗剤で綺麗に洗い上げる事
(私は鉄板専用の洗剤を薄めて使ってます)
その後銅板を火にかける
火にかけたら強火で銅板の色がシルバーに変わるまで
焼き付ける
シルバーになって煙が出始めたら火を止める
火を止め3分たったら銅板に新品のラードと新品の油引き道具を使い油をひく
3分待つ
また火にかける
今度は超弱火で6分
6分経ったら最後は強火で板から煙が出る瞬間に火を止める
この後は試し焼きをします

新品のラードと新品の油ひきを使用する事

毎日するメンテはこちらです↓

前日に板をブラッシングし洗い流した銅板を火にかけます
この時超弱火で6分
6分経ったら一旦強火にして煙が出る瞬間で止めます
3分後ラードを板に塗ってください
その後3分待ちます
再び火に6分間、超弱火です
6分後一旦強火で煙が出る瞬間で止めます
この後は生地を入れてたこ焼きを焼けます

ふちが黒ずんできたら綺麗にしよう

ここまで読んでくれてありがとう

そしてたこ焼き屋さんが増えますように

レターポットはこちらです

https://letterpot.otogimachi.jp/users/59018

※この作業はたこ虎のやり方です店舗店舗によって作業の仕方も違うし見解も違います、あくまでたこ虎の見解ですのでご理解お願いします 

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